RDI体験記(1)-1年後-

20122月 埼玉県在住 Fさんより

 (お子さんはプログラム開始時9歳)

RDIを始めて1年が経ちました。このあたりでRDIを始める前の息子のこと、RDIとの出会い、そして今を振り返ってみようと思います。

 

息子は言葉を覚えたのはとても早くおしゃべりなタイプの子です。そして、記憶力が良いので新しい言葉をどんどん覚え、意味も分からないまま難しい言葉を使ってしゃべっていました。周りの方からは賢い子だねと言われることもありましたが、言葉の意味や使い方などはあまり分かっておらず覚えたことを丸暗記していたような話し方でした。また、体力もなく不器用で同じ年頃の子が難なくこなしていくことが上手にできませんでした。力も弱いし力加減もわからなかったので筆圧が弱く絵や字をしっかりと書くこともできないし、ぞうきんを絞ったり、ブランコに乗ったりすることも下手でした。じっとしていることも苦手で、やりたいと思ったことは危険なことでも、みんなが嫌がることでもおかまいなしに衝動的にやってしまいました。


このような状態の息子を何とかしたいと思っていた私は、だまって見ていてもできるようにはならないと思い、教えられることは毎日少しずつスモールステップで何時間もかけて教えはじめました。すると、ほとんど何も書けなかった息子でもひたすら繰り返すことで絵も描けるようになり、字も書けるようになり、ぞうきんを絞ったり、蝶々結びもできるようになりました。


時間はかかるけど、教えられるようなことは、ほとんどが出来るようになりました。目に見えて出来ることが増えていくことが嬉しくて、息子の空いている時間は何かを教え続けました。できないことが多くて困っていた時期があったので、やらせていないと、なんだか不安になってしまう私もいました。

 

でもそのうち、子どもの年齢が上がり教えていくことに限界も感じました。同じ年の周りの子は手取り足取り教えてもらっているというより、自分から学んでいくという年齢になっていたのです。当たり前のことですが、自分の頭で考えながら行動したり工夫したり、反省したり、次はこうしようと思ったりした方がずっとずっと成長できるのです。差が、どんどん開くのを感じました。息子自身に向上心がなければ・・・、限界が見えるようでした。


その上に私が教えられること(正解があること)だけではなく、他人とのお付き合いや社会での過ごし方などその時によって対応が変わっていくような教えにくいこと(正解がないこと)も身に付けなければならない年齢になりました。同じ場面の繰り返しなどない現実の世界では臨機応変に対応していかなければなりません。そういうことはどうやって教えたらいいのか。

 

息子自身が自分で考え、判断し進んでいくことができなければ、この先ますます複雑になる社会では生きていけない。いつまでも親と一緒にいられるわけではない。そんな時にRDIに出会いました。

 

RDIとはなんなのか・・・1年体験して思う私の考えは・・・正解のないわからないものをわかりたいと思う心?かな、と思います。そして、1年やってみて、わからないという感覚の大切さが身に沁みます。人の気持ちなんてわからないことが当然ですが、そこをわかりたいと思えるか思えないかでコミュニケーション能力が大きく違ってきます。息子には他人を理解したいという気持ちがとても薄かったのです。


正解のあること、勉強できることなら息子にだって教えることができるのです。でも教えることができないことがありそれを無意識に体で感じとっていくことを体験させていく、これがRDIなのではないかな、と私は思います。

 

社会の中でうまく生きていくコミュニケーション能力はほとんどの人が生まれてから無意識のままに備わっていく機能らしいのです。そしてそれらの機能は普通は親が教えるようなことではありません。成長段階で獲得できなかった人に、あえて普段の生活をゆっくりとし、人と気持ちが通じることの気持ちよさ、安心感などを体験しながら生活をやり直すのがRDIです。


家族や周りの人が無意識のまま今と同じ生活をしていたのでは獲得できないので親が意識的にかかわっていきます。実際にやることは難しいことではないけれど、意識しながら日常生活を送るのは大変なことでもあります。また、成長はとても遅く目に見えにくいものなので親の心構えも重要になってきます。


RDIでいうところの成長は九九が言えたとか、漢字が書けるようになったなど、目に見えるものではありません。私がびっくりした顔をしたら何があったんだろうと私の視線の先を探したり、目が合いニコッとしたら同じ顔で笑ってくれたり、小さな声で話したら、同じくらいの小声で話ができたり、わからないことがあったとにきに私の方を向いてこれでいい?と目で聞いてくれる・・・そんな変化です。


そんなことですが、気持ちが通じていると感じるこれらのことは親として、ほんとに嬉しいことです。RDIを始めてから、息子を観察したり一緒に何かやっている時間が長くなったこともありますます息子を愛おしく感じます。

 

RDIを始めてから1年がたち、全体的に伸びている感があります。

一つずつ教えていた頃は教えたことだけはぐんと伸びるけど、それに付随するものがありませんでした。でも、今は教えていないことも伸びています。とはいっても、社会性をはじめいろいろなことがまだまだ実年齢には程遠いことも事実です。質問をすれば、たいていのことは答えられる息子です。でも、答えがはっきりとわかるものだけです。相手や、場面に合わせた返答はまだ苦手です。


家族についてもクラスメートについても複雑な感情がある人間という意識はまだ低いです。笑っていたり、泣いていたりはっきりと表情が出ていれば、うれしいんだとか悲しいんだということはわかりますが、その場の状況や、過去の出来事を総合して複雑な気持ちを察することはまだできません。

 

学校は楽しく通えています。クラスのお友達のこともたくさん話してくれるようになりました。お友達といると楽しいし遊びたいという気持ちができてきました。でもまだ、友達と呼べる人はいません。しゃべりまくることもまだ続いています。話の内容は歴史であったり、生物であったり、とても詳しく興味深い内容であるので周りの人は「よく知ってるね、すごいね」とたくさんほめてくれます。でもそれは会話ではなく、独演です。相手がだれであっても同じような口調と、同じような内容でしゃべります。


以前は自分が言いたいことを話し続ける息子が周りの人から変な子だと思われないように、適当に相づちを打ったり、会話の相手が私であるかのようにふるまったりしていました。でも、RDIで対応の仕方を教わったので、少しずつは改善されてきています。


ほんとにまだまだ足りない息子です。でも、変わることができると信じています。


RDIでは特別な道具は使いません。必要なのはゆったりした時間と観察力と子供への接し方の工夫です。一見簡単そうに見えますが、日常のくせを変えるのは大変です。体にしみこんでいるものはなかなかとれません。

大きな変化がすぐにないのもつらいことです。そこに耐えられるかが壁かもしれません。特に家族は毎日一緒にいるから成長がわかりにくいと思います。

 

息子がこの複雑な世の中を生きていくのに必要な力はまだまだ足りないけど、少しずつでも成長している息子をみていると、不安としか思えなかった将来が楽しみだなあと思えてきます。親としてやれることがあるということはとても幸せなことだと思っています。

 

一年後はどんな息子に成長しているか・・・わくわくしながらこれからもRDI生活を続けていきたいと思っています。

 

日々の子育て、コンサルテーションの中で疑問に思ったことやRDI Communityからの情報の中で気になったことなどを「PYC News」として2015年末まで書いたものの一部をアーカイブとして残しています。

 

2016年6月からは子育てブログの形で新たに書き始めました。なかなか翻訳が出版にならない「自閉症革命(仮題)」から紹介を始めています。

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熊谷神経クリニック

担当 菅原 

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Yasuko Sugawara M. Ed.  Counseling Psychology

RDI® Certified Consultant School Guidance Counselor (K-9) in MA

Certified Clinical Psychologist in Japan