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免疫システムと食物過敏(逆にこだわり)

アレルギー、免疫との関係、食べ物の好き嫌い、あるいは、こだわってそればかり食べることと、行動の問題について


前にも書きましたが、改めて別のお医者さんの口からの語りを聞いてみてください。


前のブログに続けてアメリカのサイトから引用します。


出典: https://www.autism.com/tran_ja_doc5


自閉症を持つ人々は普通の人よりもアレルギーや食物過敏を起こしやすい傾向があります。これは、おそらく免疫システムに障害があるためだと思われます。以下にアレルギーと食物過敏についての短い話を記載します。


アレルギー 

アレルギーは異物に対する体の過剰反応です。異物が体の免疫システムを過剰反応させる原因になるとき、その異物は「アレルゲン」(アレルギー抗原)と呼ばれます。植物の花粉のようなアレルゲンが吸い込まれると体はそれを侵略者だと認識します。その反応として体はその侵略者を破壊しようと「免疫グロブリンE」('immunoglobulin E,もしくは IgE),と呼ばれる抗体を作り出します。さらに、その抗体は血液中や、細胞組織と好塩基性細胞(好塩基性の顆粒を含む貪食能をもつ白血球)に存在するマスト(肥満)細胞にくっつきます。免疫グロブリンEがその侵略者にくっついたとき、マスト細胞と好塩基性細胞はヒスタミンを放出します。ヒスタミンは鼻の粘膜の浮腫を引き起こし、余剰な粘液が生じます。結果、鼻のかゆみ、鼻づまり、くしゃみ、炎症、ひりひり感、目のかゆみが生じたりします。個々の免疫システムによって 異物に対する過敏性は個人差があります。


どの異物がアレルゲンであるかを特定するために、多数のテストが使用されます。皮刺テスト、血液検査、レントゲン、または鼻の内視鏡検査などです。アレルギーが関係していると思われる症状を緩和する治療法もたくさんあります。面白いことに非常に少量のアレルゲンを与えることは、アレルゲンを通常の状態だと認識するため異物に対する 過敏性を抑制する効果があります。この方法は通常、「アレルギー注射」を用いて行われます。また栄養補助食品店で舌下ドロップを購入することもできます。ビタミンCなどのビタミンや他の補助食品もアレルギー症状の緩和目的で多くの人に用いられています。 アレルギー症状はクロモリンナトリウム(スプレー式点鼻薬として投与される)や抗ヒスタミン剤で治療することもできます。これらは異物に対するアレルギーの過敏性を抑える効果はありません。また眠気、のどの乾きといった副作用が時々あります。アレルギーと関係のある症状の緩和するのに家庭でエアコンや空気浄化装置を使用する方法もあります。


食物過敏 

多くの自閉症の人が特定の食物に過敏反応があることを示す症例は増え続けています。この過敏性を増大させる最も一般的な食物は穀物(小麦、ライ麦、オーツ麦など)と乳製品(ミルク、チーズ、乳清など)です。他の食べ物では春や夏によく食べられるストロベリーや柑橘系の果物があります。食物過敏は、免疫システムがこれらの物質に対して過剰に反応するため、多くの人にアレルギーだと考えられています。食物過敏は身体的または多くの行動面の問題に関係があるようです。頭痛、胃痛、吐き気、夜尿、ぼーっとする、どもり、過度に聞き分けがなくなる、泣き続ける、睡眠障害、多動、攻撃性、音に対する敏感症、かんしゃく、疲労感、うつ状態、腸内の問題(ガス、下痢、便秘など)、足の筋肉痛、耳感染、てんかんに至る症状まで引き起こすことがあります。


食物過敏反応の結果、ときどき身体症状が現われることもあります。目の周りにピンク色や黒いくまができる、目の下がたるむ、頬や耳がピンク色になる、動悸がする、呼吸が浅くなる、耳に水がたまる(耳感染にかかった結果)、ひどく汗をかく、などです。しかし、これらの行動や体の症状は必ずしも食物過敏が理由ではなく、他の原因による症状かもしれないことを付け加えておきます。

特定の食品に対する反応は食べた直後に現れたり、36時間以内あるいはそれ以上かかって現われることもあります。また、過敏反応は通常食事の前より後に起こります。行動面の問題が 食事前に起こったら、低血糖(血糖値が減少すること)が原因かもしれません。面白いことに、私たちは過敏性を持つ食べ物そのものを強く欲することがしばしばあります。現時点では、その理由はわかりません。


特定の食物成分に対して過敏性があるかどうかを調べるのにいくつかの方法があります。一番簡単な方法は疑われる食べ物を食事から完全に除去することです。もし、その食品に過敏性があれば、いったん体のシステムからなくなると気持ちや行動面に改善が期待できます。食物過敏があるかどうかを調べるテストとしては、1,2週間ほど食事からその食品を除去し、空っぽの胃に再び与えてみることです。その食品は完全に除去されなければなりません。ほんの少しの量でも人によっては多すぎるかもしれないからです。ほとんどの場合、食物過敏反応は15分から60分以内に起こります。しかし、夜尿や耳の中に水が溜まるなどの反応は数時間後に起こるかもしれません。食物過敏を調べるためのもうひとつのテストは、その食品を4日おきに食べてみることです。もし、過敏性が存在すれば、4日ごとに過敏反応が起こるはずです。別のやり方は、食物成分の抽出物で反応を誘発した上、その成分を希釈して(薄めて)投与し、過敏反応を中和する方法です。この方法は資格を持った医師が、注射針で体内に注入するか舌下に希釈した食物を投与するなどの方法で行われます。過敏反応が見られたら、希釈抽出物の投与を中止するか反応を中和します。人によっては、希釈した食物成分を投与することでそのアレルゲン自体に対する過敏性が抑制されることがあります。


特定の食物成分に対する過敏反応をなくす最良の方法は、食事からその食品を除去することです。他の治療法としては、栄養食品を摂取して免疫システムを強める、舌下ドロップ(微量にその食物成分を含んだドロップ)を投与するなどです。

総じて言うと、アレルギーや食物過敏性は健康や行動面に影響することがありますが、これらの問題は治療可能であることを知ることが大切です。

自閉症研究所 (The Autism Research Institute)は、自閉症に対するビタミン、アレルギー、栄養補助食品を用いた治療法について書いた資料集( information packet を配布しています。