聴力ではなくて聴覚処理

聴力検査で調べても聴力には問題がないのに、名前を呼んでも答えないお子さん、相手と話していて聞き取れない、理解できないと感じる、周囲の音に注意を削がれてしまう成人の方、など聴力ではなく、聴覚処理の問題に関係するトピックをまとめています。聴覚情報処理障害、聴覚障害、Auditory Processing Disorder, APD と呼ばれるケースもあります。後者の人の声が聞き取りにくいケースは軽度APDの症状です。

〈このページは作成途中、項目のみの部分もあります、ご容赦下さい〉

 

「なぜ名前を呼んでも振り向かないのだろう」=乳幼児健診でよくある心配のひとつ

 

身体の感覚器官の育ちが未熟で、自分の身体がどこにあるのかよく分からない→自分が呼ばれてるとは気がつかないのかもしれない

 

子供さんの身体をトントン、としてもどこをトントンすると、あ、と気づくのか違ったりします。

 

肩、二の腕、肘、腕、手、手のひらと手の甲では、知覚が違うからです。

 

*「脳はいかに治癒をもたらすか」より

 

ー母親の声を聞いてオキシトシンが出ないASDの子供たち

 

→お母さんの声を使うサウンドセラピー、あるいはSSPをやると、あ、私のお母さんの声、顔、と一致が起こる

 

*聴力検査では問題がないけれど、コミュニケーションがうまくいかない(コミュニケーション障害)の原因は一定の周波数が処理できないから。聴力の問題ではない。

 

*1000Hz, 2000Hzの聞き取りに難があるASD, ADHD(臨床研究)

 

*1000Hzがどの言語でも大事な周波数帯であることは上の表で明らか。特に日本語ではそう。

 

*聴覚過敏のある人は、それと同時に人間の声が聞き分けにくくなる

 

という仮説が15年以上前に立てられ、ここ10年の間に実証されています。中耳吸音システム(MESAS; Porges & Lewis, 2011 *1)の開発によって、どうしてそうなるのか明確に説明できるようになりました。中耳吸音システムを用いると、どんな音が脳まで届き、どんな音が鼓膜に跳ね返されるのか、客観的に評価することができます(pp106-「ポリヴェーガル理論入門」)

 

聴覚過敏を抱えてLPP(SSPの前身)に参加した人のほぼ50%が聴覚過敏を示さなくなり、そのほとんどが社会交流的活動も改善しました。社会交流的活動は、迷走神経による自律神経状態の向上と並行して改善されることがわかっています(Porges et al., 2013 *2)

 

*本来は自分の中耳の筋肉とあぶみ骨の仕組みでフィルターがかかり気にならないはずの周波数帯の音に注意を奪われる時、人の声を中心とする本来集中すべき周波数帯への集中力が落ちる、あるいは集中しようとするのにエネルギーを大きく消耗する

 

*中耳の筋肉は鍛えられる

 

*聴覚処理と同時に iLsの感覚運動で神経システムを刺激することで、選択的注意、注意の転換、集中の維持が伸びる、また人に焦点が変わる。神経回路の形成と定着には、聴覚刺激トレーニングを一定期間継続する

 

*1 Porges, S. W., & Lewis, G. F.(2011). U.S. Patent Application No. 13/992, 450.

*2 Porges, S. W., Macellaio, M., Stanfill, S D., MacCue, K., Lews, G. F., Harden, E. R., Handelsman, M., Denver, J., Bazhenova, O. V. & helman, K. J. (2013). Respiratory sinus arrhythmia and auditory processing in autism: Modifiable deficits of an integrated social engagement system. International Journal of Psychophysiology, 88(3), 261-270